税務調査の対策を考える時に、調査官の視点を想像してみるとヒントになります。
調査官の視点で考える
税務調査というのは、無制限に時間が与えられているわけではありません。
税務調査官の立場からすると、限られた時間、限られた資料の中から、誤った処理や時としては不正などを探し出し成果をあげることが仕事といえます。
そう考えると、行き当たりばったりで調べるという事はありえません。
事前にある程度の目星や段取りを考えて臨んできます。
そうは言っても、調査官側が事前に確認できるのは、提出している申告書と決算書、内訳書といった限られた資料のみです。
元帳や領収書、請求書、契約書などの決算書申告書の数字の元となった資料を確認できるのは調査当日となります。
事前の限られた情報の中から、論点になりそうな箇所をピックアップし仮説を立てて、本番の限られた調査時間の中でなるべく多くの成果をあげるようと努めるわけです。
つまり、限られた時間の中で成果が出そうなところはどこか?という目で自分の会社・事業の数字を見るとポイントが見えてきます。
納税者側も税務調査が入ると連絡が来てから、調査当日までの限られた時間の中で、出来る限りの準備をする必要があります。
隅々まで確認できる事に越したことはないですが、そう時間もないものですし、準備もなるべく効率よく要点を抑えて行いたいところです。
逆に言えば、細かいミスを指摘されたとしても、ダメージは少なくて済みます。(ミスをしていいという訳ではありませんが)
調査官ならどこを狙ってくるかという視点で自分の会社の数字を見てみましょう。
効率よく、より多く成果をあげられるのはどこか
調査官が効率よく成果を上げられるのはどこかという視点から、
具体的にどういった点が狙われやすいか、以下にいくつかあげてみます。
期をまたぐ売上、仕入
売上と仕入れは、事業の根幹ですから取引の数も多く、金額も大きいので、修正となれば影響額は大きくなるので効率が良い項目です。
特に期をまたぐ売上、仕入れは必ず確認されます。
決算日付近の取引は、請求書、売上帳、仕入帳などをみて特に入念にチェックされます。
決算月なのか翌期なのか計上日を間違えてしまうと、利益が変わり税金も変わってしまうため、調査官としても指摘しやすい項目です。
なお、売り上げの除外、架空の仕入れの計上については言うまでもありません。
在庫
在庫をもっている会社は、間違いなく在庫について確認されます。
上の期ずれとも関係してきますが、期末の在庫の数字次第で利益が変動してしまうので。
粗利率が例年と比べて変動が大きい時は、調査官側もちょっと怪しいそうだなとわかっていますし、事前に把握しています。
在庫が正しいものだと証明できるよう、在庫表は必ず作成し残しておきましょう。
人件費関係
人件費の場合、事業の利益だけではなく、源泉所得税、場合によっては消費税とも絡んでくるので、一か所指摘できれば複数の税目で修正が必要になってしまうケースがあります。
特に、給与なのか外注なのか業務委託なのかという点は論点になりやすいです。
契約の確認はもちろんですが、実態がどうなっているかという視点でチェックされます。
特殊な取引、契約
自社特有の特殊な取引や契約がある場合は、説明を求められることがあります。
お調査官も帳簿等だけでは事実関係がわかりませんので。
取引に場人物が複数絡んだり、関係会社(身内の取引)との取引がある場合は、一度契約関係から整理しておいた方がいいでしょう。
以上、いくつか狙われやすい点をあげてみました。
欲を言えば調査が来てから確認するのではなく、日ごろから正しい処理をして調査の連絡がきても無駄に慌てる事がないようにしておくことが理想です。