法人化でできる節税

法人化とは、会社を設立し、個人事業として行っていた事業を、その会社に引き継いで行っていくことをいいます。

法人化するかどうかは、様々な面から検討する必要がありますが、

税金面で考えると、事業がある程度の規模になってくると、法人化した方が節税の幅を広げることが出来ます。

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法人と個人の違い

法人と個人は、別人格と考えるので、行っている事業は変わらないとしても、法律や適用される制度は異なる部分が多いです。

わかりやすところだと、法人には法人税、個人には所得税が課される、という点がいえます。

この違いに着目して、法人化して個人事業ではできなかった節税を実現させる、という狙いになります。

法人化で可能な節税

具体的に法人化でどういった節税が可能になるのか。代表的なものをみていきます。

会社から自分に給与を出す

法人化すると、法人から自分(個人)へ給与(役員報酬)を出すことができます。

この給与は、会社の費用に計上が可能です。

個人事業の場合、自分に給与は出せず、生活費も経費には計上できませんが、法人化すると、会社から自分へ給与という形で支払うと経費に入れることが出来るのです。

ただ、金額は原則年に一回しか変更できないなどのルールがあります。

給与をもらう側(個人)でも控除

会社から出した給与は、もらう方(個人)では個人の収入になります。

収入なので所得税の対象になりますが、給与には「給与所得控除」という収入から一定額を控除できる仕組みがあり、これも利用することができます。

会社から自分に給与を出すという一つの行為で、

・会社の経費に計上し利益を圧縮

・もらう方でも給与所得控除を利用

という2つのメリットを取ることが可能になるのです。

法人税率<所得税率

法人税と所得税では、税金の計算の仕組みが異なります。

法人税は、中小企業だと2021年時点で、年800万円までの利益に対して税率15%、800万円超には税率23.2%です。

一方、所得税は、利益が増えるほど税率が段階的に税率が高くなる仕組みになっています(累進課税)。

5%から最高で45%まで段階的に税率が設定されていて、加えて住民税も10%かかります。

この税率の違いに着目して、法人税と個人の税負担を比較して、法人化を検討します。

利益がだいたい300万円~500万円前後ほど出るなら、法人化した方が有利と言われていますが、個々の状況によって一概には言えないので、総合的に判断する事が必要です。

消費税

売上が1,000万円を超えた場合、その2年後から消費税の納税義務が発生します。

これは、個人なら個人事業の売上、法人なら法人としての売上で判断します。

なので、個人事業時に1,000万円を超えると2年後には消費税の納税義務が発生しますが、

1,000万円を超えた翌年に法人化すれば、2年前に法人としての売上はないので、設立後さらに2年は消費税が免除されるのです(一定条件あり)。

ただし、2023年10月からインボイス制度が開始される予定となっており、免税事業者のままだと不利になる制度です。

現況の免税事業者のメリットを最大限活用する場合は、2021年10月までに法人化する必要があります。

税金面以外の検討も必要

このように、法人化で可能になる節税策はありますが、法人化により発生・増加するコストもあるので、本当にメリットを受けられるかどうかの検討が不可欠です。

・売上、利益の見込み(売上1,000万円、だいたい利益300~500万前後)
・会社設立のコスト
・社会保険のコスト
・経理、税務申告のコスト(複雑化、顧問料増)
・消費税
・取引先との関係性など業種独自の事情など

節税面だけでなく、事業トータルで法人化が必要かどうか、そしてその適切なタイミングはいつか、慎重な検討が必要です。