医療費控除で「医療費のお知らせ」を使うときの注意点【確定申告】

加入している保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」という通知書。

これを確定申告の医療費控除に使うことができます。

ただし、いくつか気をつけるべき点があるのでまとめました。

※マイナンバーカードを持ってる人はこちらの方法も参考にしてください

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医療費控除の基本

まずは、医療費控除を受けるための基本から確認します。

まとめると以下のとおりです。

  1. 支払った年間の医療費の合計額が10万円超(所得200万円未満の場合は、所得の5%)
  2. 家族の分も合算できる(扶養かどうかは関係ない)
  3. 医療費は「治療のため」に支払ったものに限る(予防や美容はNG。保険適用かは関係ない)
  4. 保険などで補助された分は除く(実際に負担した分だけ入れる)

1.支払った年間の医療費の合計額が10万円超

医療費の合計額が10万円を超えている場合は、医療費控除を利用できます。

10万円を超えた部分について年間の所得から控除できるため、結果的に税金が安くなるという仕組みです。

なので、超えた部分(10万円からはみ出る部分)が大きいほど税金は安くなります(ただし、年間200万円が上限)。

医療費の集計期間は、1月~12月の1年間です。

2.家族の医療費も合算できる(扶養かどうかは関係ない)

医療費は自分の医療費だけではなく、家族の医療費も含めることができます。

ここでいう家族は、扶養かどうかは関係ありません。

一緒に生計を立てていればしていればOKです。

例えば、扶養でない夫婦の場合も、どちらか収入が多い方に合算して医療費控除をした方が、別々で申告するよりも、世帯単位で見ると有利になります。

また、離れて暮らしている子供や親に仕送りをしているケースも、その家族の分も含めてOKです。

3.医療費は「治療のため」に支払ったものに限る(予防や美容はNG。保険適用かは関係ない)

どれが医療費になるのか?いつも頭を悩ませる方も多いと思います。

基本的な考え方は、「治療のためかどうか」です。

なので、保険が効くかどうかは関係ないのです。

また、「治療のため」なので、「予防」や「美容」はだめです。よくあるのは、予防接種とか健康診断はNGです。

自分で感染してるか確認するためのPCR検査もNGですね。

かなり抽象的なので、この費用はダメ、これはOKと法律で定義されているわけではありません。

一応、医療費の範囲かどうかの例示はありますが、膨大過ぎてこれだけで分厚い本が一冊できます。。。機会があれば、間違えやすい医療費はピックアップして記事にしようと思います。

迷ったら、「治療かどうか」と原則にかえって考えてみましょう。

4.保険などで補助された分は除く(実際に負担した分だけ入れる)

医療費は自分で負担した分の金額だけが対象になります。

あとで、保険で補填されたようなケースは、その分は除く必要があるので忘れないようにしましょう。

以上が、医療費控除の条件です。

次に、医療費控除で「医療費のお知らせ」を使う場合の注意点をまとめます。

「医療費のお知らせ」を使う場合の注意点

「医療費のお知らせ」は、2月に入ると加入している保険組合や健康保険課から送られてきます。

この通知書には、受診年月や医療機関、かかった医療費の金額がまとめられていて、医療費控除にもつかうことができます。

毎年たくさんの医療費の領収書を入力していた人からすると、ありがたいと思うでしょう。

ですが、以下のように注意しなけらばならない点があります。

  • 11月~12月分は記載されていない
  • 自己負担の金額をみる
  • 保険適用分しか記載がない
  • 扶養じゃない家族分は記載がない
  • 金額が異なる場合がある
  • 領収書を捨てて良いわけではない

11月~12月分は記載されていない

なんとこのお知らせ、11月~12月分は記載がないんですね。

1月~10月に診療を受けた分しか載ってません。(…)

医療費控除は、1月~12月の1年間の医療費の合計ですから、当然11月と12月分も含める必要があります。

なので、結局は最低でも11月と12月の2ヶ月分は自分で集計しないといけないのです(親切なのかそうじゃないのか…)。

この点については、e-Taxのみですがマイナンバーカードと連携する方法で解決できるようになっています。

e-Taxでマイナポータルと連携する方法で、令和4年分確定申告から1年間の医療費の情報を取得できるようになり、自動で取り込むことが可能です。この方法は別記事で紹介します。

自己負担の金額をみる

この通知書には、組合によって差はあると思いますが、だいたいの場合「医療費の総額」「食事療養費」「自己負担相当額」といった記載があるはずです。

医療費控除で使うのは、「自己負担相当額」の欄の金額です。

誤って「医療費の総額」の欄で判定したり、金額を申告書に書かないように気をつけましょう。

保険適用分しか記載がない

この通知書は、保険適用があった診察や処方箋の分しか記載がありません。

医療費控除の医療費は、先程みたように保険が効くかではなく、「治療のため」の医療費かどうかで判断するので、場合によっては保険適用外の費用も対象になることがあります。

また、医療費控除には通院のための電車代やバス代も含めることができますが、もちろんそれらの費用も記載がないです。(タクシー代や車のガソリン代駐車代は基本NG…)

なので、そういった保険適用外の費用があれば自分で集計が必要です。

扶養じゃない家族分は記載がない

このお知らせは、扶養家族の医療費しか記載がありません。

医療費控除の対象は扶養かどうかは関係ありませんので、扶養外の家族分を合算する場合は別途集計が必要です。

記載の金額が異なる場合がある

このお知らせに載っている金額と、実際に支払った金額で異なる場合があります。

これは、実際に医療機関の窓口に払う金額は10円未満が四捨五入されるためです。

この場合、「医療費のお知らせ」の金額、実際の領収書の金額どちらを使ってもOKです。

領収書を捨てて良いわけではない

このお知らせを使うからといって、残念ながら領収書を捨てて良いわけではないです。

5年間は領収書を保管しないといけません。

また、確定申告で領収書の添付も不要になりましたが、引き続き保管は必要なのです。

まとめ

医療費控除で「医療費のお知らせ」を使う場合、不足分は自分で補い申告するようにしましょう。

e-Taxの確定申告に医療費集計シートがあるのでそちらに入力するか、日頃から自分で集計しておくのがいいかもしれません。

マイナンバーカードを持っている場合は、e-Taxで連携すると医療費が自動で反映されるようになっているので、そちらを試すのもありです。